私たちが普段口にする飲み物や食べ物の中には、病気の予防や改善に役立つ成分が含まれていることがあります。その効果は多くの場合、科学的に証明され、学術誌にも発表されています。
今回ご紹介するのは、「コーヒー」と糖尿病の関係です。世界中で行われた研究により、コーヒーが糖尿病、とくに2型糖尿病の予防に効果があることが示されています。
日本における糖尿病の現状
糖尿病には大きく分けて2つのタイプがあります。
- 1型糖尿病:免疫異常により、膵臓でインスリンを作る細胞が壊されてしまう病気
- 2型糖尿病:生活習慣や遺伝の影響でインスリンの働きが弱まったり、分泌量が減ってしまう病気
2023年の厚生労働省の調査によると、2型糖尿病の患者数は 363.9万人。これは国内で4番目に多い患者数で、1999年の約74万人から24年間で5倍近く増加しています。一方、1型糖尿病は約12万人で、この数はほぼ横ばい、ないし減少傾向です。
糖尿病は初期症状が乏しいため、治療を中断したり、放置する人も少なくありません。しかし放っておくと、腎症、網膜症、神経障害などの深刻な合併症を引き起こす危険があります。

コーヒーと2型糖尿病の関係
2型糖尿病の治療の基本は、食事療法と運動療法です。それでも血糖値が改善しない場合、薬物療法が補助的に行われます。
近年、コーヒーはその予防効果が注目され、多くの研究が行われてきました。
ある大規模な解析では、コーヒーをよく飲む人ほど、2型糖尿病の発症リスクが低いという結果が出ています[1]。たとえば、1日6杯飲む人は、全く飲まない人に比べて発症リスクが33%低いという報告があります[2]。
興味深いのは、カフェイン入りコーヒーとカフェイン抜きコーヒーのどちらにも効果が見られたことです[2]。これは、カフェイン以外の成分が関係している可能性を示唆しています。
ドイツのEPIC研究でも、1日4杯以上で、カフェイン入りは23%、カフェイン抜きは30%リスクが低下するという結果が得られています[3]。
また、コーヒーは空腹時よりも食後の血糖値に影響しやすいことも分かっています[4]。
効果の理由は「ポリフェノール」?
コーヒーには、強い抗酸化作用をもつポリフェノールが豊富に含まれています。その一種である「クロロゲン酸」には、
- 肝臓で糖を作る働きを抑える
- 筋肉で糖を取り込みやすくする
といった作用があり、血糖コントロールに役立つと考えられています[5]。
ドリップコーヒーがお勧め
以前は、コーヒー豆を買ってきて、自分で挽いてフレンチプレスでコーヒーを淹れていました。最初の頃はおいしいと思って飲んでいましたが、次第に雑味が気になって、この方法はやめました。最近は、コーヒー粉を買ってきて、ペーパーでドリップするか、または、コーヒー粉とフィルターが一体になったドリップバッグでコーヒーを淹れています。最近のドリップバッグの幾つかはおいしいと思います。最近良く利用するのは、モンカフェとスタバのドリップバッグです。腰が高いので、バッグが湯に浸からないのが気に入っています。味も良いです。スタバは万人向けの味付け、モンカフェには個性を感じます。ドトールのドリップバッグもおいしいと思いますが、バッグが湯に浸かるので、ドリッパースタンドを使用しています。オークスとKOGUのドリッパスタンドは精巧に仕上がっていて、とても丈夫です。何年も使っています。さすが日本製です。会社では、ネスプレッソとネスカフェドルチェグストでコーヒーを飲んでいます。味は少し単純すぎて、私には合いません。
>>モンカフェ
まとめ
- 1日1〜6杯のコーヒーは、2型糖尿病の発症リスクを下げる可能性がある。
- カフェインの有無にかかわらず効果が期待できる。
- 予防効果の背景には、ポリフェノールなどの成分が関与していると考えられる。
もちろん、コーヒーは薬ではありません。飲みすぎには注意しつつ、健康的な生活習慣と組み合わせて、上手に取り入れることが大切です。

ゆみ婆
飲み過ぎには、注意してね! 運動も大事よ。
引用文献
[1] Van Dam R. Coffee consumption and risk of type 2 diabetes, cardiovascular diseases, and cancer. Appl Physiol Nut Metab 2008; 33: 1269–1283
[2] Ding M, Bhupathiraju SN, Chen M, van Dam RM, Hu FB. Caffeinated and decaffeinated coffee consumption and risk of type 2 diabetes: a systematic review and a dose-response meta-analysis. Diabetes Care 2014; 37: 569–586
[3] Floegel A, Pischon T, Bergmann MM, Teucher B, Kaaks R, Boeing H. Coffee consumption and risk of chronic disease in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC)-Germany study. Am J Clin Nutr 2012; 95: 901–908
[4] Yarmolinsky J, Mueller NT, Duncan BB, del Carmen Bisi Molina M, Goulart AC, Schmidt MI. Coffee consumption, newly diagnosed diabetes, and other alterations in Glucose homeostasis: A cross-sectional analysis of the Longitudinal Study of Adult Health (ELSA-Brasil). PLoS One 2015; 10: e0126469
[5] Maalik A, Bukhari SM, Zaidi A, Shah KH, Khan FA. Chlorogenic acid: a pharmacologically potent molecule. Acta Pol Pharm 2016; 73: 851–854